妖魔05~正道~
「ちっと聞きたいんだがよ」

「何だあ?」

剣を構えてはいるが、話をする余裕はあるようだ。

それもそうだ。

圧倒的に、ハンスのほうが有利なのだからな。

しかし、今のところ時間を稼ぐしかない。

今の体の不調からいえば、分が悪い。

そして、美咲達の行動待ちだ。

「楽しいからってのは、解った。でも、お前は、何で人を殺し始めた?」

「理由かあ?そんなもん、ありゃしねえな」

「何?」

「俺が最初から壊れていたってだけの話だろお。何か期待したかあ?」

とても、つまらなさそうに答えた。

「十五の頃に初めてやっちまってよお、最初の時はブルっちまったけど、後々になって考えると味を忘れられなくてなあ。普通の事で捕まるのなら軍隊に入れば良い。戦争で人を殺しても罪には問われないんだぜえ?知ってたかあ?」

ハンスの言うことは確かなようだ。

生まれた時から、殺害の因子を持っているようだ。

「でもよお、人の命には限りがあってよお、現場で俺も結構やばくなったんだよなあ。でもよお、そんな時に秋野湊がこいつを持ってきてくれてよお」

『ギャハハハ!俺はこいつとは相性がいいと思ったぜ!そりゃあもう、運命の出会いって奴だ!』

「おいおい、気持ち悪い事を言うなよお」

自分がいかに気持ちの悪い事をいったのか気付いてないようだ。

アホ・マナフもそうだが、どうして理性がついていないのか。

どうして、人を殺す事が楽しいと思えるのか。

自分の身が危なくなって正当防衛ならば許されるわけではないが、仕方がない。

だが、その人の人生がなくなるんだぞ。

だが、その人と会えなくなる人がいるんだぞ。

だが、その人の種は永遠に後世に残らなくなるんだぞ。

責任というのは苦しく痛く、重い物だ。

何故、楽しいなどと思える。

「それが理解出来ないから、お前の言うとおりだよ」
< 150 / 290 >

この作品をシェア

pagetop