妖魔05~正道~
上階は広間になっており、女性が一人居ました。

スーツ姿に三つ編みをしており、膝を組んで椅子に座っています。

女性の前にはもう一つ、椅子があります。

「反則、ですね」

「罠なんかに構ってる場合じゃないの」

女性はため息をついています。

家庭の事情でもあるのでしょうか。

「いいでしょう。私の名前はレイン=ドゥガティ。貴方達のどちらか一人には質問に答えてもらいます」

「質問?」

「簡単な質問です」

「一人でいいわけ?」

「ええ、構いませんよ」

「何か、あるの?」

「何かを企んでいるとしてどうしますか?」

「アンタに攻撃を加える」

「この室内に入った瞬間、私に攻撃をしたり触ったりするとペナルティーが働きますよ」

笑顔を浮かべているところ、彼女はお話をする事が楽しいのかもしれませんね。

「床には攻撃可能なのに?」

「まだ部屋には入ってませんでしたしね」

ビックリハウスという物を一度でいいから体験してみたかったんですよね。

しかし、無駄に死地にいくような事をするのは私の意に反します。

「私達がアンタを無視して先に進めば、いいのよね」

「背後の扉は開きませんよ。ああ、周囲に対する攻撃もペナルティーが発動します。実のところ、どちらかが椅子に座った時点で開きますからね」

「あんた、それでいいの?」

「一人で来るものかと思いましたからね。まあ、仕方ありません」

「何も喋らなかったら、アタシ達を倒せてたんじゃない?」

「私、フェアという言葉が好きなんですよね。だから、お話させていただきました」

実に素晴らしい良心をお持ちの方ですね。

「罠を仕掛けていたくせに、よく言うわね」
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