妖魔05~正道~
窓を少し開けて、顔を半分出しながら人差し指で招いている。

燕には手伝うつもりはないのだろうが、何か秘策でもあるのか。

あまり頼りたくはないが、構ってはいられない。

俺は龍に追いつかれないように走りながら、窓際に辿り着く。

「何だ?」

「フッフッフ、秘策をお前に与えてやろう」

「ほう」

燕が俺に与えたのは二本の懐中電灯であった。

「これが、秘策か?」

「私はお前のフィアンセだぞ。お前に死なれては困るからな」

俺に触れると、肉体だけは回復する。

「ほれほれ、後ろから来てるぞ。私を巻き添えにさせずに、闘え」

「そこで寝てろ!」

頭突きで気絶させ、俺は懐中電灯を持ちながら再び走り出した。

「勝ち目がないのなら、やるしかない」

スイッチを入れると、光を放つ。

龍の他にも、ナイフが転移されてくる。

「く!」

再び、体に傷をつけ回避し続ける。

「おら」

懐中電灯で龍を照らそうとすると龍が転移を始め、姿を消した。

「甘い」

龍の姿はすでに見ている。

出てきたところで、俺の敵ではない。

転移されてきたところから、ライトを照らそうとする。

しかし、空間転移で出てきたのはナイフと龍の同時攻撃であった。
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