妖魔05~正道~
懐中電灯に刺さったナイフを引き抜いて、見定める。

タイミングを誤れば、自爆だけで終わってしまう。

龍を懐中電灯で消すと、懐中電灯が落ちる。

先ほどの肩甲骨に刺さったナイフによって、腕が限界に来たのだ。

そして、再びナイフが転移されてくる。

だが、同時にナイフを暗殺者のナイフが出てきたところに投げつける。

暗殺者のナイフは俺の顔面に飛んでくる。

目を見開き、歯で受け止める。

「ぺ!」

吐き出して、片手で受け取った。

「どうだ?」

致命傷は与えられてはいない。

だが、暗殺者の右腕にはナイフが刺さっている。

今ので、二撃目。

わき腹の傷を与えてから、時間が経っている。

見たところ、治療は施していない。

魔力の減りは相当な物だろう。

「ここまで、生き残ったか」

「手品は終わりか?」

暗殺者は無言で姿を消した。

ニオイは動いている。

動いてるのは解るが、動きが妖魔のように速い。

闇の中では駿足になれるのか。

龍を出していないところ、能力を同時に使用するのにも限度があるというのだろう。

それか、魔力が限界に達しているか。

すぐ傍からナイフが飛び出てくる。

俺は手にしているナイフで受け止める。
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