妖魔05~正道~
暗殺者の傍にいる二人の女。

「秋野、冬狐」

そして、先ほど殺した暗殺者が蘇る。

「面倒くせえ」

不可能だ。

だが、事実、男は生きている。

傷を癒すだけでは、死人は蘇らない。

あるとすれば、一つ。

部分的に時間を巻き戻したという事か。

「俺の努力を無にしやがって」

「私の子供のためだもの」

秋野湊は腹を摩っている。

「父親に死なれては、困るわ」

人間と交わったのか。

「正直、あなたが勝つとは思わなかったわね」

「ふざけるな。俺はテメエらを潰すためにここにいる。勝つのは当たり前の話だ」

「そうだそうだ!私のフィアンセは強いんだぞ。あっちのほうもな!」

「おい、何の話をしている?」

真剣に取り組んでいるはずなのだが、燕の嫌な言葉が聞こえてきた。

「私もお前の子供を身篭っているぞ」

「はあ?」

「私はお前の寝ている間に性生活を送っていたのだ!」

「何の自慢にもならん!」

だが、殴るに殴れない。

「あら、夢島さん、良かったわね。好きな人の子供を産めるなんて」

「これで、既成事実は整った!後はご祝儀を上げるだけだ!」

とりあえず、馬鹿な女は置いておくしかない。

「テメエらがやった事、俺は忘れるわけがない」

「そう怒らない。あのまま進めても、改革派に未来はないわ」
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