妖魔05~正道~
だが、生身のままではすぐに死ぬ。

「ロベリア」

『王子様の思うように羽ばたいて』

「本当に、ややこしいなあ」

俺はロベリアを体内に入れ、白き鎧を纏う。

「クルト、下がってろ」

「もう、倒れるなよ」

「約束は守るぜ」

クルトは建物の影に隠れた。

吟の目の前だというのに、次から次へと問題が起こる。

だが、乗り越えなければならない壁だ。

「あら、闘うの?」

千鶴の声だが、ジャスミンが支配している。

ジャスミンは魔力の管理と精神支配を同時に行えるのか。

それだけの素質、執念を持っている。

「闘えない」

「何で変身したのよ?」

「死なないためだ」

「無理無理!あなただけ死ぬから!」

掌を平行に振りながら、否定する。

『王子様、私は悪い子』

「どうした?」

『王子様の星を落としてしまった』

先の戦いで動けなくなった事を自責しているのか。
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