妖魔０５～正道～
「今から言う事を覚悟して聞いてくれ」

俺は隠すことを止める。

暴走する可能性があるから、賭けではある。

『王子様？』

「ジャスミンはお前の妹だ。お前を守るために身を投げ出した。何故、生きているのかは解らない」

『心の残照は優しき娘』

「ああ、そして、お前は」

「何を話してるのよ」

黒き鎧が目前に迫っていた。

「く」

ジャスミンがとび蹴りを放つ。

回避するものの、足が速くすぐに追いつかれる。

こちらが攻撃を出せないので回避や防御を繰り返してダメージを減らすが、足の連撃はダメージを蓄積させる。

「ジャスミン！話し合うつもりはねえのかよ！？」

「姉さんを奪うあなたと何を話し合えばいいの？」

「話す気はない、か」

俺が取り出したのはコアだ。

これ以上時間をかけるわけにもいかない。

話を聞く気がないのなら、無理にでも聞かせる状況を作りだすしかない。

成功するのかどうかは解らないし、使いたくはない。

だが、今のままではどうする事も出来ない。

「ロベリア、一旦、解除する。いいな？」

『王子様の赴くままに』

俺はロベリアをコアを体内から取り出し、倒れていたジャスミンの身体へと移す。
< 33 / 290 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop