妖魔05~正道~
白の空間が解かれ、辺りは廃墟と化す。

目の前の時間は止まっていたようで、変身の解けた千鶴が前方にいる。

ロベリアは背を起こして、俺を見ている。

『このまま、あなたの精神を乗っ取っる』

以前、俺と契約を結ぼうとしたのはそのためか。

殺すよりも俺になりすまし、ロベリアと共にいようとした。

「君は、ロベリアの事を愛していたはずだ」

精神が、蝕まれていく。

『あなたに、何が解るの?』

「君の話を聞かせてくれ」

段々、上塗りされていくような、感覚。

『あなたに、何で話さなくてはならないの?』

「俺自身が、君の事を知りたくてたまらないからだ」

俺は、抗おうとしない。

今、時間はない。

吟を迎えに行かなくてはならない。

だが、途中放棄出来る状況ではない。

『姉さんはロベリアなんて名前じゃない』

「それも含めて教えてくれ。死んだはずの君は何で生きてて、何で君が姉さんをそこまでして手に入れようとしているのか」

『余裕ね』

「余裕かどうか、君なら解るんじゃないか?」

今にも、ジャスミンとの精神入れ替わりが起こってしまいそうだ。
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