妖魔05~正道~
摩耶の語りの間に、刃は俺に近づいていた。

体の方は、ロベリアと一心同体となった事で治癒力が高まり多少は持ち直した。

先ほどよりも、刃の動きが見える。

刃が手刀を振るい刺そうとしたところを、ジャンプして避ける。

「ロベリア!モード:真槍!」

『モード:真槍』

背後から吹き出る風で一気に急降下する。

「食らいやがれえええええ!」

俺は渾身の蹴りをスピードに乗せて放つ。

しかし、刃は立ちっ放しでいるわけがなく、サイドに飛ぶように避けた。

俺は地面を滑っていくように進んでいく。

『モード:真刀』

風が止むと、刃へとチェンジさせる。

「下らねえな」

刃がすでに背後に迫っているが、能力を使おうとしない。

手刀を振るうだけだ。

それを避け、刃を振るうが回避される。

それの繰り返しが何度か続く。

「能力を、使わないのか?」

「面倒くせえ」

刃には何かある。

早くも息が荒くなっているようだ。

「あの方は、先ほどの戦いで、怪我と魔力を減らしているのです」

今のはマリアの声だ。

一体、刃と誰が闘ったというのか。

摩耶が傍にいるという事は、アカ・マナフか。

「余計な事をグダグダ言うな」
< 89 / 290 >

この作品をシェア

pagetop