世界を敵にまわしても
「はぁ」
学校が見えてきて、あたしは思わず溜め息をつく。
分かってた。あたしと黒沢さんは似てるけど、根本的な部分が違う。
1人が好きなわけじゃないと言いながら、1人を選ぶ黒沢さんの方が断然メンタル的に強い。
「1年の時はどうだったの?」
校門を過ぎてから尋ねると、黒沢さんは「別に」と言いながらブレザーのポケットに手を突っ込む。
「今のクラスと変わんね。1年時はビビられてたけど」
何その鋼のような心。
思わずごめんと言いたかったけど、そんな自分が許されたいだけの言葉は呑み込んだ。
「あー、マジ助かった。ありがとね」
下駄箱まで着くと、黒沢さんは傘を畳んで傘立てに差し込む。
「うん」と返しながら、さっさと上靴を履いて歩き出した黒沢さんを、慌てて追いかける。隣に並ぶと、痛いくらいの視線を感じた。
「アンタ、離れたほうがいいんじゃん?」
「……一緒に教室入っただけで、騒ぐ方がおかしいでしょ」
「何ソレ。おもしろ」
そう言った黒沢さんは今日1番の笑顔を見せて、グリーンの瞳にあたしを映す。
「あと」
「んあ?」
階段を上って2階へ来たところで、あたしは黒沢さんを見上げた。