世界を敵にまわしても

――――…


「わざとですよね」


小1時間待たされたこともあり、いや勝手に待ってたんだけど。先生が音楽室に入ってきた瞬間そう言った。


「うーん、そこはお疲れ様ですって言ってほしいかな?」

「お疲れ様ですわざとですよね」

「区切って! せめて間を置こうよ……で、何が?」


予想はしてたけど、やっぱりシラを切るつもりなんだろうか。


「あたしが、あの場で素を出す様に仕向けましたよね?」

「俺にそんな事出来るわけないでしょ?」


先生は微笑んで、準備室に入っていく。それがまるで逃げてるようで、あたしは勿論追いかけた。


先生は椅子を引っ張って、背もたれを前にして座る。


そんな座り方普段はしないのに、準備室に入ってきたあたしを楽しげに見上げてくるあたり、やっぱりシラを切ってるように見える。


「この学校であたしの事1番知ってるのは、先生です」

「それはちょっとドキドキするね」


イラッとしたら負けだ……!


そんなあたしの思考すらお見通しらしい。


先生は椅子の背もたれに肘をついて、口元を半分隠してるけど半分は丸見えだ。


我慢するあたしを、ニヤニヤと見つめてくる。


「っ先生は、何がしたいんですか」

「何もしてないよ? 俺は」

「あたしは……!」


言葉を詰まらせるあたしに、先生は意地悪な笑みを消した。

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