世界を敵にまわしても


「放課後の先生は何か、子供っぽいです。すぐ笑うし人のことからかうし、意地悪なこと言うかと思えば無駄に気遣ってきたり」


あれ、後半は別に子供っぽくないな。


「何て言うか、授業終わってハシャぐ生徒みた……い」


ジッとあたしを見ていた先生の瞳が丸くなって、あたしも同じようになる。


「いや……えぇ?……俺そんななの?」


眉を寄せたと思ったら、考え込むように首を垂れる先生。あたしはモナカを一口食べて、その姿を眺める。


そんななのって、気付いてないの?


「そんなあからさまに変わってるんだ……」


ゴクンと飲み込んだ後に聞こえた言葉に、あたしは思わず目を見開いた。


「え?」

「……え?」


先生は首を垂れたまま、床を凝視していた。


あたしは黙々とモナカを口に含んで、無言の空気に首を捻る。


顔は見えないけど、微動だにしない先生の姿は何だか恥ずかしそう。


「……やっぱり授業中と放課後で違うんですか」

「いや? そんな事ないと思うよ」


あたしは包み紙をクシャッと握り、少し鼻で笑う。


「さっき自分で、あからさまに変わってるって言いましたけど」


パッと顔を上げた先生は困ったように笑って、首の後ろを掻いた。

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