世界を敵にまわしても
――あたしなんか消えてしまえばいいのに。
フッと瞼を開けてクリーム色の天井が目に入ってすぐ、そんな考えが浮かぶ。
ここが保健室だと理解しながら再び強く瞼を閉じて、右に寝返りをうった。
……理事長室に呼ばれた時も、先生に別れを告げられた時も。
結局わめいただけで何も出来ない、何も言えなかった自分。
非力で守られてばかりで、大切なものひとつすら自分の力で守れない。
そんな自分が嫌いで、大嫌いで、塵ひとつ残さず消えればいい。
消えてしまえ。
どれだけ自分を貶めてもこれっぽちも楽にならないのに、それでも自分が嫌いで仕方なくて。
……先生を責めるよりも、お互いさまだと思うよりも、自分を責める方が楽だった。
「……美月?」
キツく閉じていた瞼を開けると、くしゃっとした白いワイシャツに青と緑のチェック柄のネクタイが目に入った。考えなくてもすぐに分かる。
「……晴」
ネクタイに止まっていた視線を上に向けると、晴の手があたしに伸びてくるところだった。
「起きた? 何かうなされてたけど、へーき?」
晴の手が顔に掛かった髪を退けてくれて、あたしはそんな行為ですら先生を思い出すから、無理矢理笑顔を作った。