世界を敵にまわしても

どうすればいいか分からなくなったあたしに気付いたのか、晴は「えーと」と言いながら首の後ろをかく。


「……俺さ、もしかしてとは思ってたんだけど。でも美月は何も言わないし、考えすぎかなって。けど、最近美月の様子がおかしいっつーか。椿といても何か、4月頃の美月みたいで……さっき聞いたんだ、椿に」


ポツリポツリと晴が話すたび、胸に鋭利なナイフが突き刺さる気分だった。


「あ、俺が無理矢理聞いただけで! だから椿は悪くないっつーか、俺があんまりしつこいから。ゴメンッ! 勝手に聞いて……って、え!? 何で!?」


噂から二度も守ってくれた晴を騙してた罪悪感とか。


それなのに責めもしない晴の人柄とか。


あたしなんかを気遣って、口の堅い椿から聞き出すくらい必死だったのかなとか。


色々思って、凄く申し訳なくて、涙が溢れた。


「ちょ、ほんとゴメン! 誰にも言わねーから!」


横にあった棚からティシュを数枚取って差し出してくる晴に、あたしは強く首を振る。


受け取れないんじゃなくて、謝るのはあたしだったから。


「ゴメン……ッ黙ってて」

「は!? いいって! そんなん誰だって言い辛いじゃん!」

「でも……信じてくれてたのに、嘘ついた。ヨッシー達に、も!?」


突然ティッシュを顔に押し当てられて、涙が吸い込まれていく。
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