世界を敵にまわしても
――――…


「すごい晴……覚えてたの?」

「俺、楽譜はすぐ覚えんだー」

「勉強はてんでダメなくせにな」

「一言余計だよな!?」


放課後、あたしと椿は軽音楽の部室で晴のギターを聴いていた。


晴が弾いたのはあの楽譜の曲だ。先生が作った、あの曲。


「つーか、何これ。楽しいのかつまんねーのか結局どっちだよ」


椿は言いながら、あたしが出していたピアノの楽譜を眺める。


どうやら椿も楽譜を見ただけでメロディが浮かぶみたい。あたしはもう耳で覚えたけど、楽譜はさっぱりだ。


「でも後半盛り上がってるじゃん! まぁ、ちょっと切なげ?だと思うけど」

「切ないっつーか重くね。暗い。全体的にジメッとしてる。朝霧みたい」


ちょっと聞き捨てならないけど、音楽をしてる2人が言うならそうなのかなと思う。


「ねぇ……ほんとに歌うの? あたしが?」

「「当たり前じゃん」」


2人にハモられると、一層不安が募る。


無理だと思うし、大勢の前で歌ったことなんかないのに。


「わ!」


椿に楽譜を顔に押し付けられて、反射的にそれを掴んでしまう。


見上げると、椿は「それ」と顎で楽譜をさす。

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