世界を敵にまわしても


「あ! いたいた!」


2時を過ぎた頃、A棟とB棟を繋ぐ渡り廊下に座っていると、晴がやってきた。


その手には何やら不格好なたこ焼きを持っている。


「やきとり完売だってよ!」

「何だよ晴。それだけかよ」

「へぇ、そうなんだ」


満面の笑顔で言った晴に対して冷めた反応をとってしまったことに気付いたのは、晴がガクッと肩を落としてからだった。


「すごーい!とか、お疲れ様ーっとか言えないのかよ!」


ブツクサ言いながら地面に腰を下ろした晴に、椿は鼻で笑うだけ。


「ま、後は後夜祭を待つだけだなー」

「……そう言われると緊張してくる」

「美月でも緊張すんだ!」


失礼だなと思いながらふと椿を見ると、晴が持ってきた不格好なたこ焼きを頬張っていた。


「あ!? おいぃぃい!! 何食ってんの!? 俺の昼飯!」


つまようじを口から弾き抜いた椿はゴクンと喉を鳴らして、プラスチックの箱を晴に付き返す。


「もういらね。ごち」

「いや2個しか残ってねーし! 8個も食ったの!?」

「あはっ! 椿さっきまで焼きそば食べてたのに……っ!」

「はぁ!? お前どんだけ食うんだよ! つーか美月っ、笑いごとじゃねーってコレ!」


何でかすごく可笑しくなって、椿と晴が言い争う中あたしはずっと笑っていた。



――後夜祭まで、あと3時間。
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