世界を敵にまわしても
一般公開が終わり、模擬店の片付け、後夜祭の準備で時間はあっという間に過ぎた。
クラスの売上は予想通りで、打ち上げが出来るくらいの利益は出たらしい。
頑張った分だけ結果が出るのは、素直に嬉しいことだと思う。
だからあたしも、頑張った分だけ結果が出ればいい。報われたらいい。
伝われば、嬉しい。
「んじゃ、2人とも! 行ってきます!」
「そこ、意外に特等席かもなーっ」
ギターとベースを抱えた晴とヨッシーがそう声をかけてくる。あたしは笑顔を向けて、他の軽音部のふたりにも応援の言葉を口にした。
「頑張って」
後夜祭イベントの終盤、生徒たちが何よりも楽しみにしてる軽音部のライブが始まる。
晴たちがステージに出ていくと、歓声が上がった。
ドラスティックのライブの時と同じように、晴とヨッシーのトークで始まり、演奏が始まる。
「……確かに、ある意味特等席かもね」
隣に座っていた椿にそう声を掛けると、口の端を上げられた。
「数分後あそこに立ってんのが美月だと思うと、ワクワクすんな」
「……やめてよ」
緊張なんて、出来ればしたくないのに。
眉を寄せると椿はクスリと笑って、ステージに視線を映した。
あたしは携帯を開いて、新規メールを作成する。
結局、今日は一度も先生の姿を見ることは出来なかった。