世界を敵にまわしても


薄暗い場所に待機してたからか、ステージに出た瞬間強烈な光に目を細めた。


体育館は真っ暗で、スポットライトに照らされた唯一のステージだけは明るい。


足を進めて前を見ると、晴が笑顔を見せていた。ヨッシーも、他の2人も。


あたしを緊張させないように気遣ってくれてるようにも見えたけど、そんな必要はなかったみたい。


ステージの中央に立っていたボーカルの人からマイクを受け取り、前を見据える。


目の前に拡がったのは、体育館を埋めつくす生徒たち。


正直、スポットライトが眩しくてよく分からなかったけど。


晴が言ってた通り、前列にいる生徒しか確認することが出来ない。


何であたしがここに立っているのか不思議そうな顔をしていた気もするけれど、それをもう一度見る暇もなくステージが徐々に薄暗くなっていく。


あたしはそれに気付いて、ギュッとマイクを握った。


目を閉じて、少しうつむいて。ドラムのカウントが始まり、瞼を開けた。


再びステージが光に彩られると、ギターとベースが入ってくる。


やることは決まっていた。


あたしのことも、曲のことも詳しく紹介しないまま演奏を始める。


このステージは、晴達が用意してくれた場所。あたしが先生に想いを伝える為だけに、用意してくれたから。


あたしは精一杯、全ての想いを歌にのせて、この体育館中に響かせるんだ。
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