世界を敵にまわしても


足音荒く階段を上りたかった気持ちを我慢して。


勢いよく閉めたかったドアを静かに閉めて。


力任せに投げたかった鞄をベッドに置いて。


床に膝をついて、顔をベッドに埋めた。


――何で。


何で、何であたしばっかり……!



震える拳はどうすることも出来なくて、爪が食い込む痛さすら今はどうでも良かった。


――頑張ったのに。


そう、頑張った。


毎日予習復習なんかしなくても、理解なんてとっくにしてても、忘れるのが、間違えるのが怖くて。


同じ問題を何度も何度も繰り返しやって、覚えた出来たと思っても、あたしは結果が出るまで安心出来ない。


答案が返されるまで、不安で不安で仕方がないんだ。


自己採点しても、間違ったんじゃないかって。もっと正しい答えがあったんじゃないかって。


不安で、怖くて、心が休まる暇がない。


もう忘れちゃいけない。
二度と間違っちゃいけない。


あたしは何度も忘れて、間違って失敗して、母を失望させたから。


だから次こそ頑張ろうと思った。その次も頑張らなければいけないと思った。



そうしなければ、耐えられなかったんだ。

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