世界を敵にまわしても


母がヒステリーを起こす度、あぁ自分は出来そこないなんだと知らしめられることが嫌で。


兄の重圧が、妹の無邪気さがあたしを焦らせて、どこまでも追い詰める。



いっそのこと全て放り出そうと思ったけど。放棄することは簡単だったけど。捨てたらもう二度と取り戻せない気がして、出来なかった。


――だから、頑張ったのに。


今度こそ、認めてもろおうと思ったのに。


あたしは今の高校に通ってるだけでもう、ダメなんだ。


1位を取ったって、母が望んだ高校の1位でなければ何の価値も無いなんて。


「……っ!」


鞄の外ポケットから乱暴に成績表を取り出して、握りつぶした。


薄っぺらい紙に黒い文字と数字。


それらがグシャグシャに丸められてもまだ足りなくて、真っ二つに破ろうとしたけど無理だった。


最少まで丸まった成績表は硬く、あたしはそれに全てを込めて力いっぱい投げる。


カサッと虚しすぎる音だけが聞こえて、落とした視線の先には滲んだ血だけが残った。


両の掌に、惨め過ぎる傷が4つずつ。


「……かっこわる」


滑らかに頬を伝った涙が掌に落ちて、それを境に再び拳を握った。


――泣くな。


立てた膝を自分に抱き寄せて、そこへ顔を埋める。



誰も引いてくれることのない手を、祈るように絡ませながら。

< 47 / 551 >

この作品をシェア

pagetop