世界を敵にまわしても
母がヒステリーを起こす度、あぁ自分は出来そこないなんだと知らしめられることが嫌で。
兄の重圧が、妹の無邪気さがあたしを焦らせて、どこまでも追い詰める。
いっそのこと全て放り出そうと思ったけど。放棄することは簡単だったけど。捨てたらもう二度と取り戻せない気がして、出来なかった。
――だから、頑張ったのに。
今度こそ、認めてもろおうと思ったのに。
あたしは今の高校に通ってるだけでもう、ダメなんだ。
1位を取ったって、母が望んだ高校の1位でなければ何の価値も無いなんて。
「……っ!」
鞄の外ポケットから乱暴に成績表を取り出して、握りつぶした。
薄っぺらい紙に黒い文字と数字。
それらがグシャグシャに丸められてもまだ足りなくて、真っ二つに破ろうとしたけど無理だった。
最少まで丸まった成績表は硬く、あたしはそれに全てを込めて力いっぱい投げる。
カサッと虚しすぎる音だけが聞こえて、落とした視線の先には滲んだ血だけが残った。
両の掌に、惨め過ぎる傷が4つずつ。
「……かっこわる」
滑らかに頬を伝った涙が掌に落ちて、それを境に再び拳を握った。
――泣くな。
立てた膝を自分に抱き寄せて、そこへ顔を埋める。
誰も引いてくれることのない手を、祈るように絡ませながら。