世界を敵にまわしても
「だって高城、元気ないから」
真っ直ぐと目を見て放たれた言葉は、あたしを更に混乱させた。
「………は?」
「高城って耳悪い?」
いやいやいや。そういうことじゃなくて……。
「今日ずっと浮かない顔してるよ」
「……」
「保健室にいたのもそのせいでしょ。あと……その手の傷とか」
思わず、後ずさってしまう。
どうして些細な事でそんな事が分かるのかとか、どうして悲しげに眉を下げるんだとか、思う事は色々あるんだけど。
怖いという気持ちにも似た違和感を、朝霧先生に感じた。
「何かあったのかなーって、思ったんだけど。違う?」
「別に……何も」
「そうなの? 学年1位があんまり浮かない顔してるもんだから、何かあったのかと思った」
……それは、成績は今、関係なくない?
「普通喜ぶでしょ? 昨日も、大して嬉しそうじゃなかったし。何でかなーと思って」
「……勉強が出来て何になるんですか」
目が合った瞬間、パッと顔を逸らす。
まるで昨日のように、母の前に立ってる気分。
鼓動が速くなって、息が苦しい。
「俺だったら成績表持って自慢しまくるけど、高城は違うの?」
「……あんなの丸めて捨てました」
「え。もったいな!」
……何も勿体なくないよ。
ただ、無駄でしかなかった。