世界を敵にまわしても
「……あたしって、間違ってるんですか?」
片付けが終わったのを見計らって聞くと、先生はあたしを見つめてくる。唐突な質問でも、いつもいつも真っ直ぐな瞳で。
「驚いた。人に答えを求めるなんて、しなそうなのに」
「答えを求めてるんじゃなくて、意見を聞いてるんです」
「あぁ、なるほどね。間違ってはないと思うよ?」
微笑む先生の言葉の続きに、『だけど』を感じるのは気のせいじゃないと思う。
「ウチのクラスって、どう見えます?」
「はは! 今日は高城からの質問が多いね」
黙って答えてほしい。
そう視線で訴えると、先生は「んー」と何もない宙を見てから、あたしに視線を戻す。
「力関係がキッチリ分かれてるよね」
「……極端なのが2人居るから?」
「宮本と黒沢でしょ?」
嫌になるくらい分かってて、思わず溜め息が出そうになった。
……無駄な質問かも。
先生の意見を聞かなくても、何となく答えは出てる。ただそれを行動に移す勇気が、まだ無い。
「……転落するだろうな」
「何に?」
Cランクか、最低ランクにだよ。
「……先生って何がしたいんですか」
「うん、答えてくれないのは慣れてきたかな」
分かってるくせに白々しいな、この人は。