世界を敵にまわしても
家から学校までは40分。
電車から降りると、当たり前に同じ学校の生徒は居なかった。
……2時間目始まるくらいかな。
しとしと降っていた雨が除々に雨足を強める音を聞きながら、改札口に向かう。
母に準備してもらった朝ご飯を食べて、特に会話はなかったものの、「傘持っていきなさい」とだけ声を掛けられた。
それだけでまた涙が出そうになって、頷く事しか出来なかったけど。大きめの傘を持ってきたのは正解だったらしい。
定期を取り出して改札口を通ると、目の前に広がるのは打ち付けるような雨。
折りたたみ傘にしなくて良かった。
さっきまで直ぐにあがりそうな小雨だったのに凄い、な……。
傘を開こうとした手が止まり、立ち往生してる人達の中に黒沢さんを見つけた。
うんざりした表情で、針の様な雨を落とす空を見上げている。
……黒沢さんも遅刻か。や、別に珍しいことじゃないけど……どうしよう。
黒沢さんの後ろ姿を見ながら、恐る恐る傘を開いた。透明の傘を見ながら、2人なら十分入れるかなと思う。
……あたしは多分、間違っていない。
クラス内の力関係を熟知して、乱すようなことはしていない。だけど、内心くだらないと思ってるのも確かで。
菊池さんやミキ達の黒沢さんに対する態度は間違っていると、思う。