CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
気が付いたら《JOY》には、5時間以上もいた。
ギターを、覚える時もそうだったが、銀細工にこんなにはまっているソナは、時間など忘れて没頭していた。
俺に編んでくれた、マフラーや帽子の時も、こんな感じで頑張っていたのだなぁって、想像していた。
俺は、淳治さんの助けも合ったりして、ネックレスとショルダーバッグが完成した。
思った以上に可愛いく出来たので、満足しながら、完成品を袋に入れた。
ソナの方を見てみると、ほぼ出来上がっている。
後ろから、そっと覗いて見ると、ベルト状の皮の両端に、小さな四角錐の鋲で縁取られ、真ん中部分には、削り出したシルバーでXYZのロゴが入っていた。
両端には、それぞれ5つの穴が開いていて、革紐がクロスさせながら通されていた。
「上手に作ったね。」
『メチャクチャ楽しいよ!
TVで観てて、面白そうだなぁって思ってたけど、実際にやってみたら、難しくて大変!
でも、嵌まっちゃったよ。
また来ようね!』
「そうだな。
俺も嵌まったよ!」
『オッパ(彼氏を呼ぶ時に使う言葉)、オッパは何を作ったの?』
「ハイ、これ!
ネックレスとショルダーバッグを作ったから、ソナにプレゼント。」
『ありがとう。
オッパには、このブレスレットあげるからね。
後は、5本の色違いの細い革紐を、飾りで取り付けたら完成するから、もうちょっと待っててね!』
「あぁ、良いよ。」
『じゃあ、チャンス君、彼女の作品が出来るまで、こっちでお茶でもしてるかい。
彼女は、玲子に任せておけば大丈夫だからね。』
「そうですね!」
『ここを始めて、10年に成るけど、有名人が来たのは、君が初めてだよ!
玲子が《約束》って言うCDを買って来てな、それを聴いていたら、何か良い曲だなぁって思って。
それをTVを観ていたら、君達が出てて、それから君達の存在を知って、良くこの工房でも、君達の曲を聴きながら作業していたんだよ。』
「ありがとうございます。
何か、年上の男性のファンって、今まで出会わなかったから、メチャクチャ嬉しいです。」
『そうなんだ!
俺は、君達の曲とっても気に入ってるよ。
これからも、楽しみにしてるからね。』
「ハイ、頑張って良い曲を作りますから、これからも、聴いてて下さい。」