CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
「ありがとうございます。
それでは、これからもよろしくお願いします。」
『いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします。
御父様にも宜しくお伝え下さい。』
「ハイ、それではまた来月来ますので。」
『宜しくお願いします。』
あすか信用組合を後にして、その足で新星MUSICに向かった。
今週のスケジュールをもらいに行くのだ。
その頃、新星MUSICのスタジオでは、Spot Light-3号店でショーをする留学生達が一生懸命練習していた。
スケジュールを貰い、何気なく覗いて見ると、彼女達はKARAのMr.を歌いながら振り付けを練習していた。
俺が、スタジオの中に入って行くと、彼女達は練習をストップして挨拶してきた。
俺は、ハングル語で、
「君達、何やってるの?」
『ショーの練習をしてました。』
「誰が人の曲でショーしろって言った?」
『‥‥‥‥。』
「君達、プロのアーティストになりたいんだよね!?」
『ハイ。』
「オリジナルって、持って無いの?」
『無いです。』
「もう新星芸能スクールに来て、全員1年になるよね。
1年間、何やってたの!?」
『‥‥‥。』
「6人の内、生き残って日本でデビュー出来るのは、何人になるのかなぁ?
今のまま、自分達のオリジナリティも出せず、曲の1曲も作れず、与えてくれるのを、ただ待って居るだけだったら、さっさと韓国に帰って、就職先を探した方が良いよ。」
『‥‥‥。』
「確かに、君達がデビューしたら、作曲家や作詞家が曲を用意してくれるだろう。
振り付け師が振り付けをしてくれるだろう。
でも、今はデビュー前だから、そんな事は誰もしてくれないよ。
たかがレストランのショータイムだとバカにしているんだったら、辞めてくれて構わないから。
でも、あそこは君達がデビューする為に用意してあげたチャンスの場所だからな!
あそこでパッとしないショータイムなんかやってたら、即韓国に帰って貰うだけだからね。
あの日、30人がオーディションに来て、君達6人が勝ち残ったんだぜ!
と言う事は、他のオーディションに落ちた24人よりも、君達の方が、確実にデビューに1歩近づいているんだよ!
だったら、もっと考えて、もっとデビューに近づけるように努力しなきゃ。」