CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



『でも、曲を作っても、演奏して録音してくれる人もいないし…。』


「そうか。

君達は授業で、自分で作った曲を録音する方法を習わなかったんだ。

確か、パソコンに音符を打ち込んで、オリジナル曲を制作する方法を教えているはずなんだけどなぁ。

ほかの留学生は、自分達でオリジナル曲を制作して、それを元に練習したりしているよ。

Spot Light-1号店や2号店の留学生達は、自分達で作曲したのをパソコンで作成してショータイムで使っているよ。

詞も自分達で書いて、何曲もオリジナルがあるぜ。」


『……、私達も習いました…。』


「だったら、何でやらないの!?

作詞や作曲は、自分達のスキルアップにもつながって、いずれ自分達のプラスになるんだぜ。」


『今から頑張って作ります。

皆で1曲ずつ作ったら6曲出来ますから、それを今月中にマスターして、オープンに間に合わせます。

ご指導ありがとうございました。』


「やっとやる気が出たね。

さっき、練習しているところをしばらく見させて貰ったんだけど、なんか馴れ合いでやってたし、ぜんぜん楽しそうじゃ無かったから。

でも、今の君達の目は、悔しさと恥ずかしさの中にも、やってやるぞ!みたいな輝きが見えるよ。

君達には、期待しているんだからね。

ここの社長、まぁ、俺のアボジ(親父)なんだけど、期待してるよって言ってたんだから、頑張って期待に答えて、皆でデビューしようぜ!」


『ハイ頑張ります。』


彼女達にやる気を出させた俺は、車でSpot Light-1号店へと向かった。


店内は、まだ昼の3時だというのに、けっこう繁盛していた。


「石田店長、今日のランチタイムは終わったんだろ!?」


『ハイ、2時に終了しました。』


「それにしても良く入ってるな!」


『ショータイムに併せて、お客様も来られるから、ランチタイムのお客様と入れ替えで、やって来られたお客様です。』


「そっかぁ。

今からショータイムなんだ。」


『ハイ、ここのメニューはけっこう評判で、韓流目当てじゃなくて、純粋に料理を楽しむ為に来られるお客様も多いですから。』


「やっぱり石田店長の、決めたショーの時間が客動員をアップさせているんだな!

暇な時間帯に、ショータイムなんかしてどうするんだって言った俺が恥ずかしいよ!」
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