CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
それを暫くの間眺めていたが、俺もバス乗り場へ!
そして、15000ウォンでバスの乗車券を購入してから、乗り場へと向かった。
乗り場《4B》のところに、4時55分に出発する、ソウル市内行きのバスが停車していた。
それに乗り込み、一番後ろの席に座り目を閉じる。
松坡区蚕室洞(ソンパグ・チャムシルドン)の中心部まで来て、ロッテワールドホテルが最初の停留地だ。
俺のアボジ(親父)が経営する新星グループの本部であり、新星MUSICの本社が、ここに在るのだ。
ロッテワールドホテルの前を通り過ぎようとした時、突然先程のチンピラが目の前に現れた。
多分、俺の行動を見張っていて、バスに乗り込んだのを見て先回りしていたのだろう。
「しつこいなぁ。
っていうか、ストーカー?
そんなんじゃ、女の子に嫌われるぜ!」
『ふざけるなぁ!
さっきは、よくも恥を掻かせてくれたな。
こう見えても、俺様は韓国マフィアの人間だ!
悪いが、痛い目に合って貰うぜ!』
「チルソン派?
21セギ派?
ポムソバン派?
ヤンウンイ派?」
『聞いて驚くなよ!
俺様は韓国最大のマフィア、ヤンウンイ派の金(キム)だ!』
「ヤンウンイ派か…。
あそこの親分さんは、刑務所ん中に居るらしいけど、そろそろ出所してくる頃だよな!?
チェ親分は元気にしているの!?」
『何でそんな事を知っているんだよ。
近々出所するのは、身内しか知らないはずなのに…。
お前、何者だ!?』
「さぁね~ぇ!
まぁ、報道関係者でも、警察関係者でもないよ!」
『貴様、オチョクっとるんかい!』
「オチョクってなんかいないけど。
ペク副親分も大変だよなぁ。
チェ親分は、未だに刑務所ん中に居るし、こんなチンピラみたいな奴等の面倒までみなくっちゃいけないなんて!
だいたいさ、雲助タクシーみたいな事やって、1日60000ウォンや70000ウォン稼いで、ガソリン代だって安く無いし、道は混んでいるから、運転していてストレス溜まるし。
そんなに元気が有るんだったら、もっと儲かる仕事をすればいいのに。
その上、天下のヤンウンイ派の若い衆が雲助タクシーって、やってて恥ずかしくないの?」
『ふざけるなぁ!
俺様にだって事情が有るんだよ!
お前、いったい何者だよ!』