CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



『やだよ…。

そんな事したら、アニキに半殺しにされちまうよ。

あの人は、頭に血が昇ったら、誰だろうとお構い無しに噛みついてくるんだぜ。

今まで、一度もケンカに負けたことが無くて、一旦キレたら幹部も手を焼く有り様なんだから。』


「面白いじゃないか。

そいつをぶん殴ってやりたくなったぜ。

一度懲らしめておいた方が、金親分も助かるだろうしね。」


『止めといた方が良いよ!

マジでヤバいから。』


「心配無いって!

ジャージャー麺も食った事だし、そいつをこの店の裏手に在る公園に呼び出してくれ。」


『マジで死ぬぜ。

良いんだな!?』


「あぁ!」


『わかった。

じゃあ、電話するから。』


と言って、ポケットから携帯を取り出して、電話をし始めた。


トゥルルルルル…トゥルルルル…


『モシモシ、アッ俺ですけど……、蚕室洞(チャムシルドン)のロッテワールドホテルの裏手に在る公園知ってますよね!?……

ハイ、そこっす‥‥‥。』


一体どうしたんだろう。


こいつを見ていたら、ほっとけなくなった。


バスを降りて、こいつが待ち伏せしてて、テギルの顔を見た瞬間、何か…、何か悲しいオーラを感じて‥‥。


「連絡取れたか!?」


『あぁ!

俺も、行かなきゃダメか!?』


「当たり前だろ!

お前が行かなきゃ話にならねえだろ。」


『わ…わかった。』


「じゃあ、いこっか!

アジマン ケイサンヘ チュセヨ!(オバチャン、オアイソ。)」


『ネェ、チャンカンマン キダリョ チュセヨ!(ハ~イ、チョット待ッテネ!)

14,000ウォンです。』


俺は、20,000ウォンをテーブルの上に置いて、二人で店を後にした。


「じゃあ、テギル、腹ごなしに歩いていこっか!」


『あぁ…!』


「元気出せよ。

心配しなくても、上手くいくから。」


『どっから、そんな根拠のない事が言えるんだよ。

あんたが、いくら強いからと言って、徐ヒョン(ソ・アニキ)に勝てる訳無いんだから。

メチャクチャデカイ、化け物みたいな人なんだぜ!』


「こっちには頭が有るんだから、筋肉バカに負けるわけ無いじゃん。」


『とにかく、もしチャンス、あんたが負けたら、俺も唯じゃ済まないんだから、頼むぜ。』


「本当にテギルは心配性だな。」
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