CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
俺が、バカ3人衆を睨み付けると、ビビりながらも、少しずつ間合いを狭めてきた。
奴等のリーチ(+)ナイフの長さが、後一歩で俺との距離をゼロにしてしまう。
だから、こっちから行く事にした。
前に居る2人に一瞥をくれてから、後方の男のみぞおちに蹴りを打ち込んだ。
そいつは3メートル程ぶっ飛んで気絶してしまった。
前に居た2人は、それを見て後づさりしている。
間合いが空いたので、一歩踏み出しながら、左足で思いっきり地面を蹴って、1メートル程ジャンプしながら、更に腰に捻りを加え、2人同時に回し蹴りの餌食になって貰った。
時間にして、約30秒程である。
徐氏は、一瞬驚いたような顔をしたが、直ぐに不敵な笑いを浮かべて、ふざけた様に拍手をしている。
『あんちゃん、なかなかヤルねぇ~!
だが、あいつ等は大した奴等じゃ無いんだよね。
さてと、次は俺様の出番だな!
命は無いものと思えよ。』
「いつでも掛かって来な!」
その瞬間、
『ウォリャ~!』
と、掛け声も元気に、右の中段回し蹴りが俺のジャケットをかすめた。
デカイ割りには、思った以上に素早い動きをする、ロン毛のチェホンマンを想像して頂けたら、解りやすいだろう。
しかし俺は、左足を半歩円を描く様に後ろに引き、難なくそれをかわした。
「当たらないぜ!」
と、挑発してみた。
単純なこの男は、怒りをあらわに左右の正拳中段突きを繰り返してくる。
ケンカ慣れしているから、大振りはしてこないし、的確に急所を狙って来るが、所詮素人のやることだから、全然脅威では無かった。
『チョコマカと逃げやがって、ふん捕まえて、フクロにしてやる!』
と言いながら、俺のジャケットを掴もうとしてきた。
その瞬間、100kg近い巨体は、くの字に折れ曲がるように、崩れ落ちた。
一体何が起きたかも分からないまま、徐氏は顔を歪めて苦しんでいる。
バカデカイ男が服を掴もうと向かってきたのに合わせ、カウンターで、彼のみぞおちと顔面へ、正拳突きを両手で同時に打ち込んだのだ。
「撃砕突きの味はどうだい。
効くだろう。
今まで負けたことが無いそうだが、膝を付く気持ちはどうだった!?」
『ウッ…ウルサイ!』
「元気だねぇ!
まだやり合うかい!?