CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



『こんな事して、唯で済むと思うなよ。

俺は、韓国最大のマフィア、ヤンウンイ派の人間なんだから、お前は捕まって魚の餌にされるのさ。』


「バカだねぇ。

今時、そんな脅し文句なんて誰も言わないぜ。

お前こそ、堅気の素人に簡単にやられて、良い笑い者に成るんじゃ無いのか!?」


『‥‥‥‥。』


「どうする!?

テギルから手を引くか?

それとも、今から俺に、ボコボコにされて、海に放り込まれたいか!?」


『ワ…わかった。

言う通りにする。』


「なかなか物分かりが良いな!

じゃあ、金輪際テギルに手を出すなよ。

もしもテギルやテギルの家族に危害を加える様なら、あんたを恐ろしい世界に連れて行くからな!

これは脅しでも何でも無くて、マジの話だから。」


『あんた、一体何者なんだよ!?』


「それを知ってどうする!?

知ったら、もっと大変な事になるけど、それでも知りたいのか!?」


『………イヤ……、わかった。

もう何も聞かないし、テギルにも何もしないと誓うよ!

テギル、今まで、すまなかったな!

親分の甥っ子が、俺の舎弟の真似事みたいな事をしているから、皆が一目置いてくれるのが気持ち良くってよぉ!

それで、ついつい偉そうな事してしまったんだよな。

でも、実際は親分の耳に入ると、俺は破門になるか、ならないまでも、親分にボコボコにされてたと思うよ。

お前は堅気なんだから、もう俺なんかと一緒に居ちゃいけねぇ。

真面目にオンマと食堂で頑張れ!』


『アニキ!

すんません。』


『俺は、お前のアニキなんかじゃ無ぇよ!

俺は、チンピラマフィア。

お前は堅気なんだからな!』


「俺、アニキの事、メチャクチャ怖かった。

でも、俺みたいな中途半端な人間に、色々と面倒見てくれてたのは嬉しかったす。

有り難うございました。

俺、食堂で頑張るッス。」


「じゃあ、徐氏。

俺、行くわ。

テギル、行くぞ。」


『チャンス、何処に行くんだい?』


「付いて来りゃ分かるよ。

テギル、車は何処に停めてるんだ?」


『さっきのジャージャー麺屋さんの隣に在るビルの広い駐車場に、内緒で置かさせて貰った。』


「そっかぁ。

じゃあ、車ん所までいこっか!」


『あぁ!

本当に気になるなぁ。

チャンス、あんた何者!?』


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