CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



テギルの車ん所までやって来た。


目の前には、バカデカイビルが在る。


5階建てなんだが、とにかく横にも奥にも拡がっていて、2000坪の敷地面積の7割が建物である。


テギルが、


『チャンス、この新星MUSICって会社凄いよなぁ。

新星グループって言やぁ、韓国でもトップクラスの企業なんだもんなぁ。

こんなに大きな会社の社長って、どんなんだろうな!?』


「アッ!

それ、俺のアボジ(親父)だけど!」


『エ~~~ェッ!』


「俺の親父の会社。

でもって、俺が次期社長って言う訳。」


『マジで!?』


「チョンマル。(マジで)」


『そんな人が、何で俺を助けてくれたんだよ。』


「テギルに会った時に、何か悲しそうな、辛そうな顔をしてたから。」


『‥‥‥‥。』


「俺さ、何か最近おかしいんだよ。

頭ん中に、何かが住み着いて居るみたいな?」


『何だよ、それ!』


「良く分かんないから困ってるんだよなぁ…。」


『意味分かんねぇし。

病気か何かって事?』


「そんなんじゃ無いと思うんだけど、急に頭が割れそうに痛くなったり、変なもんが見えたり…。」


『マジでヤバいんじゃないか!?

いっぺん病院で検査して貰った方が良いと思うよ。』


「まぁ、大丈夫っしょ!

まぁ、中に入ろうぜ。

喉も渇いたし。」


『本当にお前のアボジ(親父)の会社なんだろうな!?

不法侵入で捕まるのなんて無しだから。』


「心配無いって!」


と言いながら、正面玄関から入って行った。


『ウヮ~ア!

広ぇ~!

一体どんだけ広いんだよ。』


「1400坪かけることの5階分だから、総面積は、7千坪の建物と、駐車場が300坪だったかな。」


『どうやったら、儲かるんだよ。

俺も、こんなところでビジネスマンってやってみたいなぁ。』


「そりゃ無理だよ!」


『あっさり言うなよ。

分かってるよ、そんな事言われなくてもさぁ。

どうせ、俺は中卒だもんな。』


「あのなぁ!

男ならよ、自分の人生に対して、

《どうせ》

なんて言っちゃいけないよ!

人は、誰だって気が付いていない可能性が有るもんだぜ。

それに気が付いた者が成功出来る権利を手に入れるんだよ。

どうせって、諦めた時点で、ダメになって仕舞うんだから。」
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