CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『新星グループだろう。
知っているよ!』
「そんだけ稼いでいるのに、細々とやってる俺の店をくれって、酷いと思わないか?」
『どっちもスゲー!』
「テギル君、今すぐじゃなくて良いから、考えておいてくれよな。
いまの金泉(キムソン)食堂を、もう一度軌道に乗せて、任せられる人材を育てるんだ。
ノウハウは教えてあげるから。
そして、自分の部下が育ったら、その時は俺と一緒に新しい事をやってみようぜ。
俺は、だいたい4ヶ月置きに日本と韓国を往き来してるだ。
忙しくて、ずっと韓国には要られないから、君に任せられるならそうしたい。」
『今日、初めて会ったばかりの俺で良いんですか?』
「良いんだって。
君ならしっかりやってくれると信じているんだよ。」
『有り難うございます。
それじゃあ、よろしくお願いします。』
「こちらこそよろしくな!」
『なんか、今日一日で俺の人生が180度変わって仕舞うなんて、まるで夢を見てるみたいだよ。
なんか、物凄くヤル気が出てきた。』
「お互い、頑張ろうぜ。
俺も、日本で頑張るから。
たまには韓国に遊びに来るから、その時はお互いに近況報告しあおうな!?」
『オゥ!
チャンスの店より繁盛されてみせるぜ。』
「だったら、まずは人材探しと、店創りの方向性に目を向けて、市場調査やメニュー構成、仕入れ方法から経理まで勉強しなくっちゃな!
アボジ、テギルにしっかり教えてあげて下さいね。」
「あぁ!任せろ。
一人前のオーナーシェフって言うか、経営者として育てるから。」
『……、何か大変そうだなぁ…。』
「だからこそ、やり遂げた時には、最高な気分に成れるんだよ。
そして、気が付いたらお金が貯まってるのさ。
お金持ちに成りたいのが先に来ると、ガメツクなって仕舞うから、店が巧くいかなくなるのさ。
お金は結果だから!
そこが大事だから。」
『オゥ!分かった。』
「それから、アボジと一緒にやるからには、気を付けておかなければいけない事が一つある。」
『なんだよ!?』
「うちのアボジは、無駄使いが激しいから、ちゃんと財布の紐を締めていかないと、アッと言う間にお金が無くなって仕舞うからな。」
『‥‥。』
「チャンス、それは酷いだろう。」
「本当だし。」