CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
移動中の車内でも良く仮眠を取っているみたいだ。

しかし、マネージャーの桧山さんはタフである。

毎日朝早くから夜遅く迄KYU君と行動を共にしているのに、いつも元気である。

実は、彼も在日韓国人で、本名は黄隆元(ファンルウォン)と珍しい名前だ。

背が高く、ガッチリした体格で、高校時代までは極真空手をやっていたと聞いている。

W大学を卒業後、入社して2年、今年で24才と言う駆け出しマネージャーの様に思えるが、実はかなり敏腕で実に上手に仕事を取って来る。

スケジュール管理も巧く、ダブルブッキングなんて一度も無い。

現場にタレントを遅刻させたことすら無いのだから、大したものだ。

仕事一筋で来てしまったので、大学時代に付き合っていた彼女が去って行ってしまったと、以前苦笑いで話してくれた。


現在新星MUSICは、在日韓国人タレント10名、日本人タレント15名の25名で、歌手がほとんどであるがダンサーが1グループ5名いる。

それとは別にアナウンサー5名、女優2名、男性俳優4名の36名が第一線で頑張っている。

養成中でデビューしていない生徒達は100名近くいる。

独自のTVスタジオを持ち、衛星放送の番組を5本配信され、ケーブルTVも月曜から土曜の夜7時から90分番組を帯で放送している。

社内は、350人の社員が企画課、営業課、総務課、秘書課、庶務課、広報課、制作課、などの通常の会社と同じ様に分かれて仕事を担当しているが、その他に美容課と言う部署が設置されている。

この美容課は、タレント達のヘアメイクから衣装、身に付ける小物類全てをこの部署が担当しているのだ。

この部署のスタッフ達の凄いところは、医療にも精通していて、タレント達の健康管理にも注意をはらっているのだ。

その上、最新のファッションにもアンテナを張り巡らし、今何が流行っているか、これからどんなファッションが流行るかを日々研究して即座に対応できる様になっている。

それゆえ、この18年で急成長出来たのである。

勿論、アボジ(親父)の書く曲も素晴らしいのは言うまでもない。

その上、ライブハウスを3店舗、貸しスタジオが9店舗、ケータリングの会社も設置して、様々なイベントやパーティーに素早く対応できる様になっている。

ギター教室、ピアノ教室、エレクトーン教室、ドラム教室、なども行われている。
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