自由のギフト

その睨み会いに僕は負けた。
「家近いから、彼の鼻血が止まるまで休んいく？」
なかば断ってくれる事を期待して僕は言った。
「・・・。」
そう言った僕を見返す彼女は明らかに警戒のスイッチが入った。
心のなかでため息をつく。
僕はそれ以上無理に誘わなかった。
彼女はしばらく模索し僕等に危険がないと結果がでたのか。
「お願いします。」と頭をさげる。
「うん、すぐそこだから。」
僕等四人は途中とくに会話もせず家へたどり着く。
大家さんがいつものように掃除をしていた。そして僕等を見るや目を丸くし駆け寄ってくる。
「どうしたの？」
視線が後ろの二人から僕に戻る。
「僕の部屋で休ませようかと・・・。」
「？」
もろもろ簡単に事の成り行きを説明すると大家さんは自分の部屋へと僕等を誘ってくれた。
大家さんの部屋のなか。
間取りは僕の部屋と変わらず、家具が多い分だけ少し狭く感じる。僕とノカは馴れた席に座り、彼は大家さんに託されるまま畳みに横になり座布団を頭のしたにいれる。彼女もその近くに正座した。
一段落つき、気持ちが緩むと張り詰めた分だけどっと疲れを感じた。
「はぁ。」
僕の気の抜けた声を聞くとすかさずノカが「お腹がすいたと」いいはじめた。
帰りお昼を買ってくるのを忘れた。
「お腹すいた、ねぇお腹すいた。」
「え～ちょっと休ませてよ。」
「お腹すいた！お腹すいた！お腹すいた！」
僕の事を揺すりながら騒ぐノカ。それを見て、大家さんが冷蔵庫を確かめる。
「ノカちゃんごめんね、まだ買い物前で何にもないよ、ちょうど茶菓子も切らしててね、ごめんね。」
「あーいいんです、いいんです僕これから買ってくるんで。」
ノカを睨みつけるとそこには満面の笑みがあり、すかさず「海苔弁当。」と訴える。
「え～遠いんだけど。」
「海苔弁当！」
「え～コンビニじゃだめ？」
「海苔弁当！ 海苔弁当！ 海苔弁当！」
「もぉわかったわかったから。」
「やったぁ。」
「よかったら大家さんも一緒にどうですか？お昼時だし。」
「それじゃお願いしようかしら。」
「二人も食べていきな、大丈夫でしょ。」
「あ、はい。」
その時も返事をするのは女の子で