自由のギフト
「心配かけたくないんです。
まだ小さい時に自分がなんで男であるのかと何度も聞きました、初めは笑って聞いていた両親もだんだんと僕を見る目が変わっていった、心の病気じゃないかと心配しだしたんです、自分達の育て方に問題があったんじゃないかと悩み始めたんです。
いくら小さかったからって人が悲しんでいる事ぐらいわかりました。
僕の質問が両親を悲しませている事くらい、僕は二人に心配をかけたくない。悲しませたくない。」
「でも、あゆみちゃんは?
これからも傷ついていくの?気持ちだけじゃなくて、
女の子なのに顔腫らして、その意味はあなただって良くわかるでしょ。」
大家さんは静かに続けた。
「ご両親だってそんなに弱くない、生まれてからずっとあなたを見てきたんだから、もし受け入れてもらえないならその時はまた考えるの。みんなが幸せでいられるように。」
大家さんの気持ちが届いたのかどうかはわからない、しばらく考える時間があったあとに
「ありがとう。」って大家さんに言っていた。
それからしばらくあゆみの回復を待って二人は帰って行った。帰り際僕は二人に「いつでも遊びにおいで」と伝え、大家さんはお節介な事言ってごめんねと謝ったあと僕と同じような事を二人に告げていた。
二人は頭を下げて帰って行った。
二人の姿が見えなくなった。
「たかし君は上手く説明出来ますかね、親もまぁ複雑なんだろうけど。」
「上手く説明なんかしなくたっていいんだよ、ただ今のままだとあゆみちゃんがつらすぎる。」

たしかにそうだろけれど?
なんだろ違和感。
「あゆみちゃんは気が強くて正義感も強い、だけどたかしを守る為に前に出る度、本当は守ってもらいたかったんだよ。」
「え?そりゃあそうでしょうけど」
大家さんさんの目つきが一瞬鋭くなって僕見た。
「本当に男の人は、ノカちゃんのママも大変だねぇ。」
「うん、大変だよ。」
僕をちらっと見てから大家さんに笑顔で頷くノカ。
「どういう事なんですか?もしかして僕だけ理解できてません?」
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