レモンドロップス。

「・・・もしもし」

「あ、彩香ちゃん?」

乾くんの声は不思議に遠く、か細く聞こえた。



「どうしたの、もしかして陽斗のこと?」

「今どこにいる?」

あたしの質問に答えず、乾くんは聞いた。

「*****MOVIEだよ」

「やっぱりまだそこで待ってたんだ・・・」

大きなため息が受話器越しに伝わってきた。

「ねえ、どうしたの?陽斗は?」



「ごめん、彩香ちゃん」

ふいに、乾くんの声が震えた。

「陽斗が・・・」



――――陽斗が?




「そっちに向かってる途中に事故を起こした」






その瞬間、あたしの周りから音が消えた。


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