レモンドロップス。
『手術中』
長い長い廊下の突き当たりに、その部屋はあった。
薄暗い中で、赤い表示灯がなんだかまぶしく見える。
手術室の前にはベンチが並んでいて、そこにはうつむいて座っている人が3人。
浩一郎さんと、透さんと、それから一番奥には小柄なおばあさんがいた。
「おばさん」
乾くんが呼ぶと、その人はゆっくり顔を上げて立ち上がった。
「あ、裕ちゃん、わざわざありがとうね」
そしてあたしの方に近づいてくると、
「ご心配おかけしちゃってごめんなさい、驚いたでしょう」
そう言うとやさしく微笑んだ。
その目元、陽斗に似てる・・・。
「陽斗くんの、おばあさんですか」
思わずそう言うと、
「はい、陽斗がいつもお世話になっています。・・・こんな時になんですけど」
近くで見ると、おばあさんというより、おばさんといった方がいいくらい若々しい。
髪の毛は白髪交じりだけど、しわは少ないし、声も張りがある。
服装は、淡い色のトレーナーにこげ茶色のズボン、スニーカーで、なんとなく台所からエプロンだけ外して飛び出してきたように見えた。
「陽斗の携帯電話を見たら、あなたからの電話やメールがたくさん入っていたからどうしようと思って。裕ちゃんに、待ってるだろうから病院に来てもらってってお願いして、あなたに連絡してもらったの」
「いえ、こんなことになってるなんて本当に・・・」
声が詰まってとっさにうつむくと、陽斗のおばあさんは
「あなたのこと、知ってたわ」