レモンドロップス。
「え?」
「あの子、あなたのこと何にも言ってくれなかったのよ」
そう言って、ちょっといたずらっぽく笑うと、
「でもね、様子が違うの。2年生になってから、なんとなく雰囲気が柔らかくなったというか、優しくなったというか。だからいい人がいるのかなって思ってたの」
あたしは、陽斗のおばあさんの顔がまともに見られなかった。
目に見えるもの全部がにじんできて、あふれそうだった。
「あたしの方こそ、陽斗、さんに、いつも、助けられてて・・・」
やっとの思いでそう言うと、おばあさんはそっとあたしの腕をさすって、
「あなたにもこんなに心配かけてごめんなさいね」
その声が、手が震えていた。
「あの子、バイクであなたのところに向かう途中で事故を起こしたみたいなの」
「バイクで・・・?」
「かなりのスピードでガードレールに接触したみたいで、バイクから転がり落ちたって、警察の人が」
乾くんが怒ったように、
「何やってんだよ、陽斗。一人で突っ走って突っ込むなんて・・・」
・・・おかしい、陽斗はいつでも安全第一の走りをしていた。
ガードレールにぶつかってしまうほどスピードを出していたなんて、全然陽斗らしくない。
陽斗に何があったの?
おばあさんは途方にくれたように、
「今日は法事が終わった後も、ちょっと残るってあの子が言うからお寺に残して、先に息子夫婦と帰ったのよ。そうして家に帰ってしばらくしたら病院から電話が・・・」
「おばさん、座ったら?手術が始まって2時間以上たってるし、もうすぐ終わるよ」
それまで黙って聞いていた浩一郎さんがそう言うと、
「なんか飲み物買ってくるよ。彩香ちゃん、何飲みたい?」