レモンドロップス。
あたしたち3人は、思わずベンチから立ち上がった。
陽斗のおばあさんと乾くんは手をつないだままだ。
「おばさん、手術終わった・・・」
「ほんとね・・・」
あたしには、手術室に向かって立つ2人の後姿が黒々とした大きな影に見えた。
とその時、
ガチャッ
閉ざされていたはずの手術室の扉があっけなく開いて、テレビでよく見る手術着を着た人たちが次々現れた。
みんな疲れきったように、節目がちだ。
・・・テレビドラマとおんなじだな。
とっさに、そんなどうでもいいことを考えていたあたしには、どの人がお医者さんで看護婦さんか、うまく見分けがつかない。
その中の一人が陽斗のおばあさんのところに歩み寄った。
「戸田さんのご家族の方ですか」
「はい」
陽斗のおばあさんは、かすかに震えながら、それでもしっかりした声で答えた。
「あの、陽斗は・・・」
その瞬間、あたしは自分の体全部が心臓になったように感じた。
ドキン、ドキン、ドキン、自分の鼓動がうるさくてたまらない。
陽斗、どうか・・・
「手足に重傷を負ってますが、命に別状はありませんよ」