レモンドロップス。

陽斗は一晩個室に入って様子を見ることになった。


「手足のケガはひどいみたいだけど、頭とかはダメージないみたいだから、それは不幸中の幸いだよ」

やっとたどりついた病室の前で、浩一郎さんはあたしを気遣うように笑みを見せてくれた。

陽斗のおばあさんは今、お医者さんから状況の説明を受けているらしい。

「たぶん、2、3日中には普通の病室に移れるんじゃないかな」

「そうですか・・・」

「彩香ちゃん、大丈夫?しんどかったら帰って休んでもいいよ?あ、もちろん家までおくるし」

乾くんはあたしを気遣うように、あわててそう言った。

透さんも心配そうにうなずいている。


みんな、陽斗と同じようにあたしのことまで心配してくれている。

その優しさが伝わってきて、思わず胸がしびれるように熱くなった。

だから、

「ありがとう、でもあたしは大丈夫だよ。陽斗の顔を見てもいいのかな」

今できる精一杯の明るい声で答えた。


「ちょっとの時間なら、いいってさ。たぶんまだ麻酔が効いてて眠ってると思うけど。一人でも平気?」

乾くんに笑顔を見せて、

「うん、平気。ありがとうね」


目の前のドアを細く開けると、そこは廊下よりさらに暗い部屋だった。



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