レモンドロップス。
今日は月夜みたいだ。
カーテンの隙間から、月明かりが床に、陽斗のベッドの上にこぼれている。
ゆっくりベッドサイドに近づくと、陽斗はぐっすり眠っていた。
顔には擦り傷がついていて、大きなガーゼが張られている。
どんな夢を見ているんだろう。
苦しいのか、痛いのか、ホッとしているのか。
表情からは何も読み取れない、空っぽの顔だった。
見たことのない陽斗の顔を見続けているのが辛い。
でも、さらにもう一歩近づくと、かすかに空気が暖かくなるのを感じる。
陽斗の体温、その寝息の暖かさだ。
大丈夫、陽斗は、ちゃんとここにいる。
生きている陽斗が、あたしの心をほんの少し温めてくれた。
「ゆっくり休んでね、陽斗。あたしもゆっくり待ってるからね」
今は陽斗の頭をなでることも、手を握ることもできないけれど。
こうして優しく声をかけることはできる。
あなたの夢の中に、あたしの声が届きますように。
そしてできれば、安らかな夢をあなたにもたらしますように。