レモンドロップス。
「陽斗ね、事故で左半身の怪我がひどかったの。」
急に心臓の鼓動が大きく響き始めた。
さっきまでうるさかった自販機の音が遠ざかり、代わりにおばあさんの声が耳にはっきり届く。
「足もそうだけど、特に左腕がね・・・骨折だけじゃなく、神経や筋肉にまで損傷を受けていて・・・。」
おばあさんの声が震えた。
「もう、以前のようには動かせないみたいなの。」
自分の心臓の声もその言葉にかき消された。
「左腕が、動かせなくなるってことですか・・・?」
ようやく発した自分の声の小ささに驚く。
「リハビリでどこまで回復するかは分からないけど、物を持つことも難しくなるそうよ。」
その瞬間、おばあさんがどうしてそんなに切なそうなのか、あたしの話に顔を曇らせたのか、その理由が稲妻のように体を貫いた。
「もしかして、ギターも弾けなくなるってことですか?」
首を振ってください。
お願いします、大丈夫よと言ってください・・・。
あたしの心の叫びもむなしく、おばあさんは小さくうなずいた。
うなずいた瞬間、小さな小さな涙が一粒、テーブルに落ちた。