レモンドロップス。

「彩香・・・すごいっ!!」

そう叫ぶと、菜美は力いっぱいあたしの肩を掴んだ。

「あいてててっ!菜美どうしたの~?」

菜美は季節はずれのヒマワリのように、満面の笑みを浮かべている。

「かっこいいね~、女の中の女だよ!」

面と向かってそんなことを言われると、思わず赤面してしまう。

「そんなことないってば!・・・菜美だって、自分の辛いこと話してくれてありがとうね」

あたしの言葉を聞いて、菜美はスッと手の力を抜いた。


「あたしは、かっこよくないよ。いまだに乾くんのことあきらめられてないし、かといって、正面からアタックする資格もなくして。」

情けないよ、そう言って力なく菜美は笑った。

あたしは首をブンブン振って、

「菜美が自分のこと話してくれたから、あたしも大切なことに気づいたの。情けなくなんかないよ」

そう言うと、菜美は一瞬ためらい、それから思い切ったように言った。

「彩香、あの子・・・いずみちゃんとは病院であった?」

「ううん、最近は全然会ってないよ」

そう答えながら、事故の日以来いずみちゃんと連絡を取っていないことに気づいた。


あんなに陽斗のことを気にしていたのに、いずみちゃんが病室に顔を出している気配もない。

どうしてだろう?

そのことを今更ながらに思い出して、急に心配が沸いてくる。


「そっか。今更だけど、いつか戸田くんの様子が落ち着いたら、ちゃんとあの子に謝らなきゃって思って・・・。もちろん許してもらえるとは思ってないけど」

「うん、それがいいよ。たぶん、いずみちゃんも菜美もそれでちょっと楽になれると思うし」

だったらいいな・・・。

菜美は独り言のようにそう呟いた。

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