レモンドロップス。
「他のこと?」
予想していなかった言葉に驚いて、反射的にたずねた。
いずみちゃんはちょっと困ったように、
「うん・・・、よく分からないけど、事故の日にパパと会ったことが関係しているような気がして」
「陽斗のお父さんと・・・」
そういえば、同じようなことを健にぃも言っていた。
いろいろあってそのことは頭の中からすっかり抜けていたけど、左腕のこと以外にも陽斗は何かに苦しんでいるのかな。
「パパとはそのことはほとんど話さないから、何があったかは知らないの。だからこれはあたしの直感なんだけどね」
いずみちゃんはむしろ、あたしに心配をかけまいとするような明るい口調だった。
こういう時、いずみちゃんの方があたしより年下だってこと、なんだか忘れそうになってしまう。
「ただ、あたしがあんまりお見舞いに行くと、陽斗がパパのこと思い出しちゃうんじゃないかと思って、だから・・・」
「気を使って、お見舞いを我慢してるんだね」
電話の向こうの沈黙。
あたしには、いずみちゃんがコクンとうなずくのが見えるようだった。
「陽斗はパパのこと、きっと許してない。今は特に神経が敏感になっていると思うから、そのことで、刺激したくないんだ」
彩香が陽斗の様子を教えてくれて助かったよ、いずみちゃんは優しくそう言った。
気遣って電話をしたはずが、いつの間にかこっちが気遣われている。
そのことがかなり情けなく、そしてちょっと嬉しかった。
しばらくお互いの近況報告をした後、
「じゃあ、また・・・」
そう言って、いずみちゃんが電話を切ろうとしたとき、
「あ、いずみちゃん!」