レモンドロップス。

「え、なに?」

「こんなこと、聞いていいのかわかんないけど・・・」

自分から呼び止めておきながら思わず口ごもる。

でも、今だからこそどうしても確かめたておきたかった。


「いずみちゃんも、お父さんのこと・・・恨んでいたりする?」



『俺とあいつは親父の被害者だから』

いつか、陽斗はそう言っていた。

お父さんに対する気持ちが2人の絆のように感じたこともあったけど、本当のところはどうなんだろう。

家庭の事情でいろいろ辛い思いをしたいずみちゃんも、やっぱり同じような憎しみを感じているのかな・・・。



「恨みは・・・ないよ」

拍子抜けするくらい、いずみちゃんはきっぱりと言った。

むしろその声は明るくすらあった。

「この家の子に生まれなかったらどうだったかな、もっと幸せだったかなって思うことはあるけど。でも、やっぱりあたしのパパだから、それを受け入れなきゃいけないんだよね」

だって、といずみちゃんは続ける。

「だってさ、パパがいないとあたしがいなかったことも事実だし。パパのことを認めなきゃ、自分の存在も認められなくなっちゃうって思うから」

スラスラと出てくる言葉たち。

きっとそれは、いずみちゃんが幼い頃から何度も何度も考えてきた疑問に対する答えなんだろう。

なぜあたしがこんな目に?

なぜ苦しみを味わわないといけないの?


自分なりの答え。

だから、こんなにも確かな言葉で話せるんだ。


「・・・そっか。いずみちゃんは強いね」

あたしのそんなつまらない言葉に、へへとテレながら笑ういずみちゃんの声は、いつの間にか中学生のものに戻っていた。



ねえ陽斗、いずみちゃんはもう、答えを持っていたよ。

陽斗は、どんな答えを見つけるのかな?


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