レモンドロップス。
「お父さんと、お母さんのお墓の前で会ったんだね?」

あたしが確かめるように言うと、陽斗はゆっくりうなずいた。

「ばあちゃんが手引きしてたんだよ。親父が毎年母さんの墓参りするのを。うまく俺たちの法事とはかぶらないように工作してさ」

その皮肉めいた言葉に、初めておばあさんの肩がピクリと動く。

たまたま陽斗が長くお墓に残って、そこでお父さんと鉢合わせしてまったんだろう。

もしかしたら、おばあさんはそこまで考えて、会えて2人を止めなかったのかもしれない。

「おれにばったり会って、あいつ言ったんだ。『久しぶりだな。元気か』って、笑顔まで見せながら」

普通の親子の会話じゃない、そう言おうとしたあたしに陽斗は気づかないように、早口でしゃべった。

「それからあいつなんて言ったと思う?『ここに来るとつい色々考えてしまうことが多い。気は重いが、だからこそ自分にとってこうやって墓参りすることが大事なことに感じる』ってさ」

ふいに陽斗は口をゆがめた。

「よく言うよ、自分が殺した女の墓の前で。あいつにそんなこと思う資格ないんだよ」


そして陽斗は言った。


「あいつは疫病神なんだよ。あの言葉のせいで俺は思わず墓を飛び出して、バイクで走った。あいつの言葉を聴きたくないばっかりに必死に飛ばして飛ばして・・・、気がついたら病院送りだよ」
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