レモンドロップス。
「はい、どうぞ」
そう言って差し出されたのは、紙コップに入った暖かいカフェオレ。
そっと両手で包み込むと、甘い香りと熱がじわりと目の前に広がって、思わずホッと息をついた。
「驚かせてばかりでごめんなさいね」
あたしの目の前には陽斗のおばあさんが座る。
動揺するあたしを見かねたのか、おばあさんは陽斗がうとうとし始めた頃を見計らって、待合室に連れ出してくれた。
最近の陽斗はカッとなったり、そうかと思えばすぐに眠ってしまったり、なんだかとても不安定だ。
「まだ、精神状態が安定していないみたいなの」
そう言うおばあさんも、陽斗と同じくらい顔色が悪く見える。
「すいません、なんだか火に油を注いでしまったみたいで・・・」
あたしは急に惨めでたまらない気持ちになった。
もっと、陽斗の力になりたいのに。
励ましたいのに。
結局まともなことは何も言えないままで、陽斗を混乱させるばかりだ。
ほんとに情けない。
逃げずに向き合おう、そう決めたはずなのに、あたしの心は海の上の小さなボートのようにグラグラ揺れていた。
「熱いうちにカフェオレ飲んでね」
おばあさんはそう言いながら、小さく微笑んだ。
その言葉に後押しされて、ようやく一口すすると、口や喉、そして胸の中が順番にほわりと暖かくなる。
そんなあたしの様子を見つめながら、おばあさんは、
「あの子の母親と最後に話したときのことを思い出しちゃった」