レモンドロップス。
枕元に置いた携帯をとると、ずっと開いていないアドレスを呼び出した。
「戸田陽斗」
新規メール作成。
何も考えていなかった、と思う。
考えるより先に、指先から思いがあふれ出して次々にキーを打った。
------------------------------------------------------
陽斗、元気ですか?
さっきニュース見たらね、今年の冬は寒さが厳しかったから、桜の開花が遅れそうなんだって(汗)。
まだ1週間以上、って長いよ~!
なんかさみしいね(汗)。
・・・まあ、それだけなんだけど。。。
なんだかさみしい。
陽斗、あたしはさみしいよ。
陽斗に会いたい。
とっても会いたい。
こんなメール書いたって絶対送信しないのに、また書いちゃった。
たぶん桜のニュースを聞いたせいだね。
あたしたちが初めて会ったのも、桜が満開のときだったから・・・。
桜色の風がひと吹きで、あたしを陽斗のところに運んだんだよ。
ごめんね、もうやめます。
---------------------------------------------------------
何やってるんだろ、あたし。
送るつもりのないメールを打っている自分に思わず笑ってしまう。
それでも確かにメールの先には陽斗がいる気がして、なんだか心が温かくなるのが情けなかった。
保存しますか?
携帯電話の問いかけに、
はい
そうボタンを押すと今度こそ静かに目を閉じた。