レモンドロップス。


未送信メール1件。


うーん、どうしよ。

携帯を見るたびに否応無く目に飛び込んでくる。


靴の中に入った石粒みたいに、あたしの心をチクチクつつく。

勢いあまってメールを書いてしまった翌日、ずっとそのチクチクに悩まされていた。



「じゃあね、バイバーイ」

「お疲れ~」

・・・補習の帰り道、菜美と分かれるとついまた携帯電話を開いてしまう。


いくつもの送信メールの中に混ざった名前、「戸田陽斗」。

夕日に照らされてオレンジ色に染まっていた。

どうしていつもこんなにまぶしく見えるんだろう。



送っちゃおうかな。

心がうずいた。

何かに呼ばれているような気もした。


もちろんそれは気のせいなんだけど。


送ったところで返事が来るわけじゃない。

というか、無事に届くかも分からないんだから。

と、言い訳してる自分がいる。



行き場のない想いをこめて。


陽斗、迷惑だったらゴメン。


もう本当にこれで最後にするから。




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