レモンドロップス。

「幸せも不幸せも、全部俺のものなんだよな。幸せは自分で勝ち取ったもの、不幸は人のせいなんて、かなりずるい考え方だったかも」

「それも、お父さんに言ったの?」

苦笑しながら、陽斗はうなずいた。

「親父、半泣きだったしちょっと困った。俺のほうが悪いやつに見えてたよ絶対。」

「そうなんだ・・・」


一言そうつぶやくのが精一杯だった。

じわじわと、熱いものが胸に混み上げてきて、それ以上の言葉が出てこない。


「起きたことは仕方ない、最近そう思えるようになってきたんだ。今までは過去の出来事に足を取られてた感じだったけど、今はそれを踏み台にしてる感じ、なのかな」

「良かったね・・・」


本当に、本当に良かった。

足先をお湯に浸したみたいに、全身がゆっくりと温かさに包まれていくのを感じた。

陽斗は、自分の答えを見つけたんだ。



と、同時に頭に浮かんだ言葉。

『でもどうして?』


陽斗の冷たい殻はどうして破れたんだろう?

あの時あたしが見た怒りは本物だった。

どうやっても動かせない、固くて重い檻のように陽斗を閉じ込めていた怒りを溶かしたものは何なんだろう。


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